浪曲とは
浪曲とは

浪曲とは

浪花節とも呼ばれる。腹の底に響く声。節(歌)と啖呵(台詞)。三味線とのセッション。
義理と人情、恋と友情、歴史にまつわる話などを扱いながら、抱腹絶倒、涙腺崩壊、聴くものを物語の沼にひきずりこみ、感情をゆさぶり、聴き終わった頃には世俗の垢がぽろりと落ちる、熱い語り芸である。


浪曲の歴史

源流をたどれば、仏教伝来とともに大陸・半島からもたらされた芸能までさかのぼるが、「浪花節」というジャンルとして生まれたのは、明治初年。
もとは大道芸の山伏や願人坊主などが演じていた「祭文」「ちょぼくれ」「ちょんがれ」「阿呆陀羅経」などを母体として生まれた、節つきの語り芸。三味線を相手に、節と啖呵をおりまぜて、物語を語る。明治40年代に人気がでて、昭和30年代前半まで、日本でもっとも人気のある芸能であった。
一時衰退したが、近年入門者が相次ぎ、勢いが戻ってきている。


浪曲の見どころ

大道芸から生まれた浪曲は、雨風にさらされながら育ってきた芸なので、遠くにまで響く独特の声を出す。
そのアクロバティックとさえ思える声づかいと節回しが一番の魅力であり、また、譜面もない中で、三味線と息を合わせながら物語を運んでいく、一回限りのセッションが魅力である。


浪曲の舞台装置

明治初年の時期は、演者は小さな机を前に坐り、横に三味線が坐る形で演じていたが、明治時代後半、中興の祖・桃中軒雲右衛門が、舞台に屏風を取り回し、演台に美しいテーブル掛けをかけ、三味線を屏風で隠して演じるスタイルを確立し、以降それがスタンダードになった。
近年は、三味線は表に出て弾くことも多くなった。演台にかける美しい布は「テーブル掛け」と呼ばれている。